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第5章-3 潜入 ねねとエイミー
エリアG-16の心臓部へと続く長い回廊。静寂が支配するはずのその場所で、突如として赤い警告灯が回転し始めた。
「――侵入者検知。排除プロトコルを開始します」
無機質な機械音声が響き渡ると同時に、壁の至る所から銃口がせり出し、無数の小型警備ドローンが蜂の巣を突いたように溢れ出してきた。
「見つかった……! エイミー、下がって!」
ねねが叫ぶのと同時に、激しいレーザーの雨が二人を襲う。ねねは前方に飛び出し、手にした武器で攻撃を弾こうとしたが、全方位からの波状攻撃に防戦一方となる。鋭い熱線がねねの肩を掠め、鮮血が舞った。
「うっ……!」 「ねね、動いてはいけないのです!」
背後からエイミーが駆け寄り、ねねの体に手をかざす。エイミーの手のひらから柔らかな光の粒子が溢れ出し、ねねの傷口を瞬時に塞いでいく。痛みが引き、力がみなぎる感覚に、ねねは息を吹き返した。
「助かった、エイミー!」 「お礼は後なのです。私が動きを止めるのです!」
エイミーが特殊な波動を放つデバイスを起動させると、迫り来るドローンたちがシステムエラーを起こしたようにその場に停止した。一時的な機能停止(無力化)だ。
「今です、ねね! その脇を抜けて!」
しかし、ねねはエイミーの言葉に従わず、停止したドローンたちに向かって全力で踏み込んだ。一閃。ねねの攻撃によって、無力化されていたはずの機械たちは火花を散らし、完全に粉砕された。
「……! 何をしてるのです、ねね! 動きを止めるだけで十分だったはず!」
エイミーが鋭い声を上げる。彼女の瞳には、明らかな困惑と憤りがあった。
「壊してはいけないのです。彼らはただ命令に従っているだけ。修復不可能なほど破壊するなんて……」 「甘いよ、エイミー! 動きを止めただけじゃ、すぐに再起動して後ろから狙われるわ。……それに、こうでもしないと勝てない。私たちは今、命のやり取りをしてるんだよ!」
ねねは粉砕された機械の残骸を見つめる。 エイミーは悲し気に言う。
「……ねねの言うことも解るのです。ただ、この子達にも何か、気持ちようなものを感じるのです」
エイミーは呟くと再び前を向いた。 ねねとエイミー、言葉は違うが少しずつ解り合えて来た。
その時、回廊の奥から、今までの警備ロボットとは明らかに次元の違う、重厚な駆動音が響いてきた。
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