第5章-4 ギアーズ降臨:G4

・前の話
・次の話

第5章-4 ギアーズ降臨:G4

地響きのような重低音が回廊に響き渡り、奥の巨大なシャッターが火花を散らしながら跳ね上がった。

「な、何……? さっきまでのドローンとは、威圧感が違いすぎる……!」

ねねが武器を構え直したその時、暗闇から巨大な影が飛び出してきた。 それは、蒸気を吹き上げながら不気味に駆動する、巨大な**兎型の戦闘ロボット『G4』だった。愛らしいはずの兎のフォルムは、重厚な装甲と無数の回転鋸(のこぎり)、そして獲物を逃さない巨大なバネ足によって、凶悪な殺戮兵器へと変貌を遂げている。

「これが……狂った科学者の最高傑作、『ギアーズ』……!」

G4が地面を蹴る。目にも止まらぬ速さでねねの懐に飛び込み、鋭い鉄の爪が空を裂いた。

「速いっ……!?」

ねねは辛うじて回避するが、衝撃波だけで身体が吹き飛ばされる。壁に叩きつけられ、肺から空気が漏れ出した。そこへ、G4が追撃の鉄槌を振り下ろす。

「ねね! 危ないのです!」

エイミーが叫び、咄嗟に光の障壁を展開する。激突の衝撃で障壁に亀裂が走るが、その隙にねねは体勢を立て直した。

「ありがとう、エイミー! でも、このままだとジリ貧だよ!」 「判っているのです! でも、この子の動き……どこか、迷っているようにも見えるのです……!」

戦闘は激化していく。ねねの斬撃はG4の強固な装甲に弾かれ、逆にG4の猛攻がねねを追い詰めていく。ついに、ねねの足がもつれ、地面に膝をついた。

G4の巨大な影がねねを覆う。 逃げられない。G4がその巨大な爪を振り上げ、ねねの心臓を貫こうと――「とどめ」を刺す瞬間だった。

「……え?」

振り下ろされるはずの爪が、ねねの目の前数センチでピタリと止まった。 駆動音だけが虚しく響き、G4のセンサーが激しく明滅する。まるで、守るべき大切な何かを傷つけようとしている自分に、システムが悲鳴を上げているかのように。

「今なのです、ねね! この隙を逃してはいけないのです!」

エイミーの叫びで、ねねは我に返った。なぜ止まったのかを考える暇はない。これが最初で最後のチャンスだ。

「……はああああッ!」

ねねが渾身の力で跳躍し、G4の動力源へと武器を突き立てる。同時に、エイミーが最大出力の光の波動を流し込み、内部システムをオーバーロードさせた。

激しい爆散音とともに、G4の巨体が沈黙し、ゆっくりとその場に頽(くずお)れた。

「……勝った、の……?」

肩で息をしながら、ねねは沈黙した兎型のロボットを見つめた。 あの一瞬の停止は何だったのか。なぜ、あの冷徹な殺戮兵器が自分を殺さなかったのか。

拭いきれない違和感を胸に抱いたまま、二人はさらに奥へと進む。しかし、ギアーズの脅威はまだ始まったばかりだった。

・前の話
・次の話