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集結!カタナの強者

カタナの城、その巨大な広間は、かつてないほどの熱気と殺気に満ちていた。 並の兵士であれば、その場に立っているだけで気絶してしまうだろう。そこに集っていたのは、選りすぐりの強者たちだったからだ。
その刀白き閃光のごとく、、侍の最大派閥白刀衆。

荒々しい息遣いで巨躯を揺らす、怒れる豪傑鬼人衆。

怒龍の右腕 八咫烏衆。

幻の存在式神たち、それを操る陰陽師。


そして、各地から己の腕一本を頼りに参じた、あまたの強者たち。


彼らの視線は一点、玉座に座る巨魁に向けられていた。 大将軍・怒龍(ドリュウ)。 先の戦いでの深手はいまだ癒えていないはずだが、その眼から放たれる覇気は、傷の痛みなど微塵も感じさせない。
「静まれぃッ!!」
怒龍の一喝が、雷鳴のように広間を震わせた。 ざわめきが波が引くように消え、数百の強者たちが息を呑む。
「よくぞ集まった、強者どもよ! 貴様らの力を欲しているのは他でもない、この俺だ!」
怒龍は玉座から立ち上がり、拳を突き上げた。
「我らが宿敵、ゼレウスを討つ時が来た! あの忌々しき暗黒を切り裂くため、俺たちは最高の戦力をもって挑む!」
オオオォォォ!!!と、武人たちの喉から唸りのような歓声が漏れ始める。怒龍は言葉を続けた。
「だが、奴を倒すには単なる武力だけでは足りん。我らには『最強の武具』が必要だ! それは覚醒を司る神をも従えるという伝説の至宝――『白の指輪』だ!!!」

『白の指輪』。 その名が出た瞬間、場内の空気が変わった。神を従える力、その響きに、力ある者ほど強く反応し、目をぎらつかせた。
その興奮の最中、怒龍の傍らに控えていた青年が一歩前へと進み出た。 龍明(リュウメイ)である。 その身体からは凛とした理知的な気が立ち昇り、荒くれ者たちの視線を自然と惹きつける。

「皆の者、聞け! 『白の指輪』の在り処は判明している!」
龍明の声は、父である怒龍の豪快さとは異なり、鋭く、よく通った。
「指輪が眠るのは、遥か西方――神域フォレスタ! 一度入れば二度と出られぬとも言われる深緑の魔境だ」
軍勢の隅々まで見渡しながら、龍明は言葉に力を込める。
「しかし、指輪を狙っているのは我らだけではない。あのアメルダ帝国もまた、軍を動かしているとの情報が入っている! 奴らに、神の力を渡すわけにはいかん!! 我らが先に大樹海を制し、指輪を手にするのだ!!!」

「応ッ!!!」 龍明の檄に、侍たちが刀を鳴らし、鬼たちが床を踏み鳴らして応える。 地響きのような雄叫びが、城郭さえも揺るがさんばかりに轟いた。
その熱狂の渦の中で、一人、静かに口角を吊り上げる男がいた。 芦屋道満(アシヤドウマン)。 彼は扇子で口元を隠しながら、不敵な笑みを深めていた。
(ククク……白の指輪は俺のものだ。アメルダ帝国がどう出てくるか、面白い見世物になりそうだ……)

道満の腹の内など知る由もなく、軍勢の士気は最高潮に達した。 怒龍と龍明、二人のカリスマに導かれ、異形の強者たちが動き出す。
目指すは未踏の大樹海フォレスタ。 こうして、カタナの軍勢による、帝国との熾烈な争奪戦の幕が切って落とされたのである。

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