第6章-5 機神

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第6章-5 機神

ハクは稽古の時間に遅れてくる。

「ハク!あなたはいつも遅刻してばかり!」

アカリに怒られるハクはアレッサの後ろに隠れる。呆れるアカリはため息をつくと、すぐに表情を戦闘のものへと変える。

「早速、稽古始めるわよ! みんな離れて!」
その声と同時に、空気が震えた。アレッサと桜花も真剣に見つめる。

アカリの周囲に、無数の光が集まり始める。
それは電子回路のような光の線となり、彼女を中心に渦を巻く。

桜花はその光景を見つめる。
(……ネオライズの力)
その胸の奥で、何かが静かに燃えた。
(この国を守ることが――きっと未来につながる)

光が収束し、アカリの体が浮き上がる。巨大な機械の構造が空間に描かれていく。

アレッサが横で説明する。
「古代科学の“空間転写”という技術です」
「覚醒のエネルギーを使って、空間上に機械の鎧を設計しています」

桜花はその言葉を聞きながらも、目を離さない。
アレッサは説明する。
「世界の空間の最小単位には、その空間の物質を決める情報が書き込まれています。それを書き換えることで物質を生成するのです」
「そのためには途方もないエネルギーが必要になります」

「覚醒という特殊な力を高密度に送り込むことで、空間の情報を書き換え、設計された鎧を物質へと変換します」
「この機械の鎧を『機神』と呼びます」

「私たちの多くはアメルダ帝国のオリジン達への怒りや悲しみが覚醒の原動力になっている。」
「アカリが非常に大きく高密度な機神を作れるのは、彼女が抱える気持ちが大きいからです…」

轟音。

光が弾け、巨大な鎧が具現化した。アカリを機神が覆う。

続くように、ハクもまた機神の鎧に包まれる。
二体の巨神が対峙する。

見上げる桜花。
(……強い)

桜花は息を呑む。だがその瞳に浮かぶのは恐れではない。
(――私も、強くなる…使命を果たすために!)

「いくわよ、ハク!!」
「来い!!
衝撃が空間を震わせる。

桜花はその光景を、ただ見つめていた。だがその胸の内では――新たな戦いへの決意が、確かに芽生えていた。

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