第7章-5 四獣「平原を怪力王」

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第7章-5 四獣「平原の怪力王」

水龍の石を手に入れた一行は、さらに森の奥へ進んだ。木々の隙間を抜けると、広大な草原が広がっている。風が草花を揺らし、遠くには丸い丘がいくつも並んでいた。

エイミーは草原に向かって大声で叫んだ。「熊ーー! 熊さーーん!!」ハクは驚いて身構える。「熊!? そんなの呼んだら危険じゃないか」その時、草原がざわりと揺れ、低い声が響いた。「ふざけた猫娘よ……相変わらず小さいのう」ハクと桜花が警戒する中、エイミーだけが嬉しそうに丘へ飛びついた。「熊ーー!!」

突然、その丘がぐらりと動いた。地面だと思っていたものがゆっくり起き上がる。それは巨大な熊――ではなく、白黒のふさふさした大きなパンダの腹だった。エイミーは迷わずその腹に顔を埋める。「ふわふわなのです!」巨大なパンダは太い腕を組み、誇らしげに胸を張った。「エイミー様。ワシは熊ではありません。遠い祖先はパンダと呼ばれていたそうです。そして、ダンダンという立派な名もあります」

「ダンダン、四獣の力を貸してほしいのです」エイミーが顔を上げると、ダンダンは大きな手で彼女の頭を撫でた。「事情はわかります。ですが、力とは簡単に渡すものではありません。健やかな体、よく食べ、よく眠り、よく動く命の力。ワシはそれを何より愛しております」そう言うと、ダンダンは草原に埋まっていた太い木の根を片手で引き抜いた。まるで巨大な綱だった。

「この綱をワシと引き合いなさい。勝てたなら力を授けましょう」ハクが前に出る。「俺たちも手伝う」ダンダンは豪快に笑った。「全員でかかってきてもよいですよ。ワシの怪力はフォレスタ一。いや、世界一かもしれませんな」桜花が笑う。「自信満々ですね」「自信ではありません。事実です」

エイミーはむっとして綱を握った。「熊さんは、エイミーを甘く見ているのです」「熊ではありませんが、まあよいでしょう」エイミーはハクたちへ振り返る。「みんなは、大切な人を思ってエイミーを応援してほしいのです。フォレスタの民は、祈りを力に変えられるのです」ハクは戸惑いながらも頷いた。「わかった。やってみる」

桜花が手を上げた。「始め!」その瞬間、ダンダンが綱を引いた。地面が揺れ、エイミーの小さな体が一気に引き寄せられる。「ぬわーー! 思ったより強いのです!」だが、エイミーの足元から無数の植物が伸び、綱に絡みついた。花の蔓、太い根、しなやかな茎。それらがダンダンの力を受け止める。

「思いを届けてほしいのです!」エイミーが叫んだ。ハクは目を閉じ、猫神の光の中で眠るアカリを思った。桜花はアカリの笑顔と、ネオライズの人々の安らかな朝を祈った。是音は救われた命を誰かのために使うと心に誓った。三人の思いがエイミーへ流れ込み、草原の植物が淡く光り始める。

「ほう……良き祈りですな」ダンダンは感心しながらも、まだ片手で綱を引いていた。
エイミーは全力で引っ張っている。
しかし、綱が動かない。ダンダンの腕が太い…指も太い…

首、そして笑みも太い。

余裕である。

その時、草むらから森の動物たちが次々と飛び出してきた。フォレスタの仲間達がハク達の祈りに共鳴したのだ。

それでも動かない。

エイミーの筋力が限界に達しようとした時、優しい声が語り掛ける。
「呼んだかしら…エイミー」

駆けつけたのはエイミーの友達のひまり。

「ひまり!!来てくれたのです!?」
ひまりは微笑みで挨拶するとダンダンの横に立ち、ポンっと軽くパンチする。

「倒れてくれるといいな…!」

「ひ、ひまり様、、、むむむ」

じっと見つめる可愛い動物たち。

「その目で見つめないで、、、」

「あーもう、、、ワシの負けだ!!」
ダンダンはひまりの笑顔、そしてかわいい動物たちの視線に自ら綱を手放し、地面に転がってみせた。

ダンダンは仰向けのまま腹を揺らして笑った。「まいりました。皆を呼び寄せ、我らがパンダ族のアイドル、ひまり様までも、、、。エイミー様も卑怯ですな!」
「熊さんの弱点は知っているのです!」
ただ可愛さに逆らえなかったパンダがそこにいた。

ハクは考えていた「う~ん、、これで良かったのか?いや、目的は達成したし、誰も傷ついていない、、、まぁ、いっか。」

「エイミーの勝ちなのです!」

ダンダンはゆっくり起き上がり、穏やかな目で一行を見た。「強い体は素晴らしい。いつでも勝負をお受けしますよ。」

ダンダンの掌に、黄色に輝く平原の宝石が現れた。大地のように温かく、深い光を宿している。エイミーはその宝石を受け取る。「ありがとう熊さん!」「だからパンダだと…!」

桜花が笑い、ハクも優しく見守る。是音も静かに微笑んでいた。三つ目の四獣の力を手に入れた一行は、花に満ちた平原を後にした。祈りと笑いが残した花々は、風に揺れながら、彼らの背中を見送っていた。

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