第6章-6 アメルダ襲来前夜

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ネオライズ防衛の要である主将クラスの生徒たち。制服姿のまま駆けつけたアカリ、ハク、ウルフ、アレッサ。

そしてスカーレット率いる特殊任務部隊。アメルダに単独で忍び込み情報収集するほどの精鋭部隊だ。

彼らが集結するのは決まって重要な情報を共有する時。
「主将さん達、久しぶりだな~。今日はヤバい情報持ってきたぜ。」龍二が報告を始める。

「ちょっと、あんた危機感あるの?」全く危機感を感じていないライライが突っ込む。

「ねぇ知りたい?知りたい?…教えてあげよーかなー??」こんな時まで好奇心旺盛なミイナ。

「ハイハイ、みんな今日は真剣な話。真面目にやりますよ。」特殊任務隊主将のスカーレットが割って入る。

そんな中、学園長の顔には、これまでにない深い疲労と焦燥が刻まれていた。
「……最悪の事態が起きたようだな…」

「スカーレット、報告を頼む」
学園長の絞り出すような声に、全員の緊張感が高まる。

スカーレットの表情が変わる。
「アメルダ帝国の帝王オリジンが、地下深き封印施設から禁断の遺物『黒の指輪』を発掘しました。前線で仲間たちを蹂躙した圧倒的な力は、その前兆に過ぎません」

「『黒の指輪』とは覚醒の力を暴走させ解放するもの。真に邪悪な者のみが使うことのできる。……それは、伝説の『白の指輪』と対になる存在。」
その言葉に、息を呑む音が部屋に響いた。元々、単身で国を滅ぼせるほどの巨大な力を持つ帝王オリジンが、伝説の指輪の力まで手に入れたというのだ。

龍二が続ける。
「奴が指輪の力を完全に使いこなすようになるのは、もはや時間の問題。オリジンがこれ以上力を付ければネオライズどころかこの世界が終わっちまう…」

アカリ達の表情は決意に満ちている。

学園長は静かに頷き、全員の顔を真っ直ぐに見据えた。
「決戦の日は近い。全員備えるんだ。」

ーーーアメルダ帝国ーーー
一方、その絶望の元凶であるアメルダ帝国の中枢。
空を突くような巨大な軍事ビルの最上階で、常軌を逸した破壊の嵐が吹き荒れていた。

「グオォオオオオオッ!!」
獣のような咆哮と共に、帝王オリジンの全身から漆黒の衝撃波が爆発的に放たれる。

ただの余波であるにも関わらず、分厚い防弾ガラスが粉々に吹き飛び、隣接するビル群が砂の城のように無残に崩れ去っていく。

彼の指にはめられた『黒の指輪』が、不気味な脈動と共に底なしの呪力と悪意をオリジンから引き出していた。

黒の指輪と共鳴し暴走状態に陥っているのだ。

都市の空に穴が開く。

「オリジン様! 気を確かに持ってください!!」

凄まじい暴風と圧力が吹き荒れる中、側近のリリが決死の覚悟で飛び込んだ。彼女は自らの身が引き裂かれるのも厭わずオリジンの腕にしがみつき、呪いに焼かれながらも強引に訴えかける。

ズガ!!!壁に吹き飛ばされるリリ。

オリジンは自ら指輪を外す。その全身からは静かだが周囲の空気を歪ませるほどの莫大な魔力を放出していた。

「この指輪を付けた者は悪以外であれば死ぬ…俺は純粋な悪だからな…この指輪に滅ぼされることは無い。」
その声を聴きオリジンの無事を確認するとリリは気を失った。

「それにしても素晴らしい。もう少しでこの指輪を完全に手名付けられる……フッ、ハハハハハ!」
やがて、静寂を取り戻したアメルダの都市に、オリジンの低く狂気を孕んだ笑い声が響き渡る。
その様子を、少し離れた瓦礫の影から見つめている女がいた。サフィラだ。

彼女は絶対的な力を振りかざす君主の姿を前にしても怯えるどころか、むしろ底知れぬ企みを秘めたような笑顔を浮かべていた。

「この指輪の場所を知らせたのは貴様かサフィラ…いや、その体を操る『氷の女王ゼレア』と言った方が良いか?」
サフィラはクスクス笑っている。オリジンは続ける。
「ネオライズの次は貴様だ。首を洗って待っておけ、この世の支配者は俺一人だけで十分だ。」

サフィラの目は氷のように青く輝き、微笑みを見せた。「フフ…オリジンよ…遊んでやっても良いぞ。」そう言い残しサフィラは闇に消えていった。

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